◆ノンフィクション◆「くもをさがす」
著者:西加奈子 河出書房新社 税込1,540円 ISBN:9784309031019
コロナ禍のカナダで乳がんを罹患した西加奈子。「日本人には情があり、カナダ人には愛がある」とはバンクーバーに数年暮らした著者の見立てですが、医療関係者や友人そして家族との会話や関わりが愛に満ち溢れているところが本書の特長です。不安な日々の中で光明を見出そうとする著者の心情に寄り添う。そのかけがえのない光によって読者は著者とハグをしているような温かい気持ちになる一冊です。
◆新書◆「世界史を動かしたワイン」
著者:内藤博文 青春出版社 税込1,100円 ISBN:9784413046671
重厚なボルドーワインの登場は17世紀後半。ボルドーは元々イングランド王の領地だったこともあり、イギリスの哲学者ジョン・ロックもオーブリオンを愉しんでいたという逸話があるくらい、多くのイギリス人に愛飲されていました。ルイ14世はボルドーではなくハンガリーのトカイワインの蠱惑的な魅力の虜になっていたことなど、世界史の舞台の中心にはワインが存在していたことを本書で知ることができます。
◆ビジネス◆「給料の上げ方」
著者:デービッド・アトキンソン 東洋経済新報社 税込1,760円 ISBN:9784492558096
夢のようなタイトルです。著者はアメリカ大手金融会社出身、日本のための提言を数多く発信しています。真面目な日本人の給料が上がらないのはなぜか、著者は「日本では海外のように個人が給料を上げる主役になっていないから」と言います。え?自分で交渉するの?と思うかもしれません。本書ではなぜそれが必要なのか、またその方法について解説しています。