三省堂書店創業140周年を記念してブックデザイナーの有山達也さんに、ブックカバーのデザインを依頼しました。
有山達也さんへのデザインイメージの依頼は「これまでの三省堂書店」
レトロな雰囲気がただよう三省堂書店旧社屋や創業の地である神保町界隈のイラスト、過去のエンブレムなどをデザインとして使用。
イラストは画家・牧野伊三夫さんです。
ブックカバーの印刷は「活版印刷にしたい」と有山達也さんからご提案。
ならば是非「印刷するところを見に行きたい!」と印刷所を訪問することになりました。
初めて見た大型の「活版印刷機」やインクのにおい。
職人さんの細かい作業や技、出来上がるものへのこだわりを目の当たりにして、「ものをつくる」大変さと楽しさを感じ、このブックカバーの製造過程を多くの方にお伝えしたいと思いました。
三省堂書店創業140周年記念ブックカバーができるまで。
是非、ご覧ください。
昭和27年創業。
浅草にある印刷所「日光堂」
私立の小学校指定のノートや本の表紙など様々な紙製品の印刷をしている印刷所で、現在は3代目です。
今は国内でも数少ない大判対応の活版印刷機を使用し、ブックカバーを印刷します。
ブックカバーのデザインされた下絵は専門の業者により樹脂製、金属製の活版となり、日光堂へ納入されます。
今回のブックカバーは、カバー全体のデザインは樹脂版を、三省堂書店のエンブレムは金属板を使用しました。
活版印刷機にデザインの指示通りに印刷できるように「組み付け」という作業を行い、活版の位置を固定します。ミリ単位で位置を決めていきます。
活版の位置が決まったら、印刷用のインクを調合。デザインと同じ色に近づけます。
インクの調合ができたら、試し刷り。
活版の位置、インクの色などデザイン通りの印刷かを確かめます。
インクの色を微調整。
何度もインクの色や出方を確認します。
時には活版も削ってデザイン通りの印刷になるように調整します。
微調整を経て、有山達也さんのGOサインが出てたら、全ての印刷を開始します。
印刷したら、1日乾燥させます。
翌日は、三省堂書店のエンブレム部分を印刷。
また「組み付け」を行い、活版の位置を固定。
インクの色を調整。
昨日と同じ工程を経てエンブレム部分を印刷します。
2度の印刷で、1枚のブックカバーが刷り上がりました!
140周年記念ブックカバーは文庫・新書サイズが3デザイン、フリーサイズが3デザイン。
印刷には丸2日間かかりました。
大型の活版印刷機がガチャンガチャンと音を立てて印刷されたカバーが出てきます。
印刷機の心地よいリズムと、職人さんの細かな技術、手間のかかる印刷手法で出来たブックカバー。
印刷したばかりのカバーを本にかけた時の緊張と、ようやく出来上がったのだという喜び、このカバーに携わってくれた皆さんへの感謝、何とも言えない気持ちがたくさん出てきました。
日光堂で活版印刷されたカバーはパッケージされ、私たちの元へ届いたのは、印刷から約3週間後でした。
有山達也さん・アリヤマデザインストア、牧野伊三夫さん、日光堂の皆さまをはじめ、多くの方々のご協力により、「これまでの三省堂書店」140年の歴史を肌で感じていただけるようなブックカバーが完成しました。
2021年7月 三省堂書店 営業企画室
【制作風景動画】
セットした紙をたくさんの吸盤で1枚ずつ吸いあげます。
吸い上げられた紙を活版まで送ります。
活版印刷された紙が出てきます。